山間の街、岡山県津山市。 ここは古くから、中国山地の往来の拠点として発展してきました。
江戸時代には美作国の拠点として発達し、明治時代の廃藩置県後も津山県・北条県と独立した県として制定された後に岡山県に編入された歴史があります。
その中で培われた特異なものの一つに、津山市に伝わる食文化があります。
江戸時代の日本では仏教の影響により肉食が禁じられており、その長い間、一般の人々は肉を食べずに生活を送っていました。開国後にすき焼きが流行するまでは、一般庶民の人々は肉を食べない生活が当たり前で、食べたとしても山間部で猟をする人々位のものだったのではないかと思います。
しかし、近江彦根藩と津山藩だけは特例により食肉を許されており、市井の一般的な人々も牛肉を食していたようです。そして、そこから津山市独特の食肉文化が生まれました。
その第一弾。干し肉!
もちろん干し肉は保存食の一種です。アニメでは鉄板の保存食で、アルプスの少女ハイジなどでも登場します。日本を舞台にしたアニメでは、やはりもののけ姫で、サンがアシタカに口移しで食べさせるシーンが有名ではないでしょうか。
しかし、国内で伝統的な干し肉というものを見たことがない…と思っていたら、なんととても身近にあってびっくりしました。
牛肉だけあって、値段は少々張ります。こちらの干し肉は1パック2300円でした。しかし、十分その価値は…というより、むしろ旨さと量を考えると妥当かそれ以上です。
こちらがパックから出した干し肉。
通常の牛肉に比べ、さつまいもを濃くしたような色にさつまいも型のボディ。そこに牛脂や筋などが見え隠れする何とも言えない見た目です。
ちなみに、この干し肉は生で食べることはできません。サンみたいにそのままかじってはいけないと、道の駅久米の里のお姉さんに釘を差されました。
津山市民の食べ方としては、適当な大きさにスライスしてフライパンで焼くのが一般的ですが、調べてみると、焼いてからスライスしたほうがより旨いらしい説を発見。
そりゃあ美味しい方で食べるに決まってるよね。
というわけで、家の魚焼きグリルに肉塊を投下し、弱火でじっくり中に火を通します。
これをスライスすると…
これめっちゃ美味しい!!やばいものを発見してしまった!!
通常の牛肉と違い、牛由来の旨味が凝縮して、噛めば噛むほど幸せなエキスが口の中でドゥビドゥバーーーーー\(^o^)/
正直、高い霜降りステーキより尊い存在かもしれません。
レモンやポン酢をかけると、初速は酸味で引き締まりこれも良い。そこら辺で売っているジャーキーとは全くの別物で、しっとりガシガシうまーい!
もちろん、わさびと岩塩とか最高です。しかし、何をつけようとも最終的には牛の旨味に口の中を乗っ取られるので、もうお好みで色々かけて楽しんでみてもいいかもしれません。それくらい強くて負けない子。
彼と出会ってからというもの、ワタクシの家の冷凍庫には…真空パックで密閉された干し肉が常にストックしてあります(笑)
岡山県津山市に古くから伝わる郷土食、津山の干し肉。
その味は保存食などというジャンルを飛び越え、もはや旨くするために干しているのではないかと思うくらいの美味しさです。 熟成し水分の飛んだ赤身と脂身からにじみ出る二種の味が幸せそのもの。
県外から来られたかたは、ぜひ持って帰って食べてみてください。お土産にも最適で、めっちゃ喜ばれると思います。
果物ときびだんごしかない岡山なんて、もう言わせないヨ\(^o^)/
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