先日、みなと食堂で美味しい焼き魚の日替わり定食を食べた際に、瀬戸内海ではほとんど見かけない魚を食べました。
ずんぐりとしたタイ型の魚ですが、色はアジに似ており、ゼイゴもついている。なんだこれ見たことないな…と思っていましたが、そういえば山陰側ではたまに見かけるものです。
山陰側では、これをよくヒラアジと呼んでいますが、標準和名をカイワリといいます。
日本全国で捕獲されるもののようですが、漁獲高も安定せず一般的に知名度の低い種のようです。地方名も多く、魚好きには味の良い魚として知られている模様。
参考ページ/ぼうずコンニャクの市場魚介図鑑さん
また、東京など関東圏ではその美味を知る人が多いのか、価格がかなり高騰しているようで…参考ページ/野食ハンマープライスさんでは、8尾で900円であれば十分買いという記述を見かけますが…
島根県浜田市では、8尾で198円で売られている。
島根県浜田市の魚介は、山陰どころか個人的体感として日本全土でも屈指のクオリティと安さを誇っているように思いますが、かなりの価格差がありますね。こんな貴重なものが600円の定食で出され、スーパーで198円で入手できる。浜田市公設仲買市場で購入しても、新鮮なものをトロ箱内一列200円〜で購入できます。
また、他地域との背景の違いも関係すると思いますが、島根県でのヒラアジは関東のカイワリと違い、同じ種でもさほど重要視されていないのかもしれません。確かに漁獲高が安定しないのか、大量に出回るときもあれば全く付近で見かけないこともある。
出回っているときでも安価なため、市場で一列200円で購入してみました。
思ったよりまぁまぁ大きい。
ヒラアジの大きさは30センチ未満とのことで、大きくなっても40センチくらいとのことです。もちろんそんな良型ではありませんが、それでも25〜30センチ級のものでした。
外観の特徴としては、目の色が普通の魚と違いかなり白っぽく、遠目には濁っていて鮮度落ちしたように見えますが、近くで見ると十分目は澄んでいます。白っぽい目で、恐らく暗所では光るのでしょうか、他の地方名にはメヒカリという名前もあるそうです。
ちなみにうちでは、持ち帰る魚は現地で真空パックにして持ち帰ることが多いので、眼球にパックの圧痕が残り非常に傷んでそうな出で立ちですが、問題はありません。
さばいてみると、骨はかなり硬く強いタイプ。イサキやタイほどではないのですが、喉くらい柔らかい部分を通るとなるとゾッとします。その点で言えばあまりイサキやタイと変わりないくらいの鋭い骨で、飲み込むのは難しいでしょう。
おろしてみると、とても美味しそうな半身になります。腹が黒い膜で覆われており、これは劣化するととても臭みがでてくるかと。
腹部に白い脂のような部分が浮いており、これは間違いなく旨いという確信が持てますが…
野食ハンマープライスさんのところで書かれている通り、魚の口からこんにちはでお馴染みのタイノエが合計2つ出てきました\(^o^)/
予期しない虫が出てくると一瞬ビックリしますが、魚をさばいていたらよくあることです。しかし、野食ハンマープライスさんのところで見ると、タイノエはカニのようでとても美味しいらしく、眉をひそめながら捨てたことを後悔した次第です。
さて、タイノエも美味しすぎて寄生したくなるヒラアジのお味は…
ヒラアジの煮付け
瀬戸内式の煮付けです。他県のものに比べると若干薄めで、甘じょっぱい醤油味を足して生きる濃い味の白身魚にはあまり向かないものの、魚の味を楽しめる方式で。煮汁はあくまで透き通るもので、醤油・塩共に薄めです。
サッと煮るだけでとても美味しい。
身離れもよく、適度に締まった身はとても食べやすいです。アジより癖がなく、青物が苦手でも十分食べられます。写真の通り、臭み消しを一切入れなくても臭くない。
ヒラアジの塩焼き
みなと食堂さんで出て来るヒラアジは一夜干しのようで、これはこれで枯れた味わいに凝縮した旨味がとてもいいですが、新鮮なものをそのまま塩焼きにしてもとても美味しいです。
皮は完全なるアジの風味ですが、その下の身は妙にふくよかでとてもいい。脂が乗っているのもありますが、身は若干アジと異なります。
さりとて単なる青物ではなく、カマスをもう少し引き締めたような、ヒラアジ独特の風味があるように思います。案外と個性的で美味しい魚を、こんな値段で売っていいのか。
しかし、これらを大きく上回る方法としては…
ヒラアジの刺し身(自己責任)
今回購入したものは、刺し身は難しいと言われましたが…ぼうずコンニャクさんのサイトで
”刺し身として魚類中トップクラスの味わい”
と言わしめるもの。大体、島根県の人はちょっとでもだめだとすぐに刺し身を諦める恵まれた人たちなので、広島県在住の私の目にはいけそうってことで…。
モチモチした分厚い身には脂が乗っているんですが、その割にはあっさり食べられます。
しかし味わいは強烈で、アジではないヒラアジ独特の、癖はないがとても個性的な…言い表すのに似たものがないという美味。
大事なことなので二度言いますが、こんな美味しいものをこんな値段で売っていいのか。
恐らく島根県でのカイワリは、惣菜魚として安価な自家用の魚になっていると推測されます。お店ではあまり出てこない、出るとしてもそれは庶民的な定食までで、安くて美味しいけどステータスはない。そういう位置づけではないかと思います。
しかし、地元の人が思っているよりも…こういう魚が異常に美味しいのが島根県のウラヤマなところです。
正直、島根県の人たちが雑魚として扱う魚で、他のところで十分打線組めます…。それくらい、島根県浜田市の魚はなんでも美味しいです\(^o^)/
観光で立ち寄った際には、ぜひご賞味あれ。
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