【岡山県笠岡市】ラーメン一久で笠岡ラーメンを味わう

岡山県笠岡市には、戦前から醤油ラーメンの文化がありそれも実に岡山県らしい美味しいラーメンがひっそりと根付いています。 


これを笠岡ラーメンと呼び、ご当地のみでひっそりと楽しまれています。  


醤油ラーメンといえば、どちらかと言えば関東で発達しているあっさり鶏ガラ醤油ラーメンが主流で、澄んだ鶏ガラ醤油の味がウリのド定番中華そばかと思いますが… 岡山県笠岡市の笠岡ラーメンは、鶏は鶏でも老鶏を使います。 


元々井原市〜笠岡市は昔から養鶏が盛んで、卵を生み終えた鶏を食べる文化があります。これをこの近辺では親鳥・親鶏と呼び、若鶏より安くしかし美味である食材として一般に流通しています。


調理のやり方は選ぶものの、若鶏より強い味と歯応えがありとても美味しい老鶏を用い、スープからチャーシュまで全てを老鶏で仕上げた醤油ラーメンが笠岡ラーメンです。 


老鶏の特徴としては、若鶏よりも濃い出汁とオレンジ色の味わい豊かな脂。これがとても独特で、関東圏で見かけるものとはまた違う味の醤油ラーメンになります。 


今回は、その笠岡ラーメンを出すお店の内、隠れファンが多いというラーメン一久に行ってきました。 





 ラーメン一久さんは、笠岡ラーメン店の密集する笠岡市街地から少し広島県側に離れた山中で営業しています。結構山の中に入っていくのですが… 2号線から上がっていくと、木々に隠れて店を見落としてしまう羽目に。  


慌ててUターンし、開店時間10分前に到着。まだ人が並んでいることもなく、混雑に揉まれず良かったとクルマの中で10分待つものの… おかしい。開店しない。 


まぁ個人の店だし、こういうこともあるよねともう10分待つも…まだ開店しない。 


 見た目は廃屋みたいだし、外から見る感じなんか人のいる気配がしない。


もしかして今日は定休日?と思い、クルマを降りてみると、建物から強くて甘い鶏のスープの匂いが漂っています。


人の気配はしないものの、とりあえず聞いてみようと扉に手をかけると、そこにのれんを持った大将がいました。


相当ご高齢で、足腰が悪くなってしまった大将。開店準備で動き回るのも相当しんどそうです。そりゃあ10分そこら待っても文句は言えないし言うつもりもありません。  


ただ、基本的には足腰が悪いだけでとても元気でおしゃべりな明るい大将です。立っておくのは大丈夫だが、歩くのが最近億劫だと強めの岡山弁でお話してくれました。  


のれんをかけたり表の看板を営業中にひっくり返して、ラーメンを注文します。  


これが、岡山笠岡に古くから伝わる笠岡ラーメン。 真っ黒の濃い醤油に大きめに切ったネギ、そして笠岡ラーメンの象徴である鶏チャーシューを盛った、トラディショナルな形の笠岡ラーメンです。  


味は…独特ですね。関東系中華そばを想像していると、面食らうくらい濃い。  


スープを飲むと、まず先に酸味としょっぱさを纏った醤油の味が口の中に広がるも…奥底から湧いてきた鶏の脂の旨味甘味がみるみるうちに口の中を占領していく。これだけ醤油が濃いスープなのに、甘い。鶏甘い。


麺は昔ながらの中太ストレート。味の強いスープが適度にくっついてくるので非常に良いバランスだと思います。 


そして、老鶏チャーシューは…噛めば噛むほど味が出る系です。しかし、ラーメンの副材として使えるくらいに柔らかく煮込まれたもので、肉だけ口の中に残るようなことはありません。


めちゃくちゃ個性的で美味しいラーメンです\(^o^)/ 





 味もさることながら、お店の大将もとっても優しいのがラーメン一久さんのいいところなのではないでしょうか。 


別にワタクシ、のれんと看板を手伝った(といってもかけたりひっくり返すだけ)だけなのですが、帰りに大将が鶏チャーシューを持たせてくれました。  


笠岡ラーメンは鶏チャーシュー単体だけでも非常に美味で、お店でチャーシュー持ち帰りを希望するお客さんも多いみたいです。 


大将の言うとおり、家で酒飲みながらツマミにすると…これは最高\(^o^)/  


豚肉のチャーシューと違い、脂っこくなくお腹に軽いチャーシューですが、老鶏を使っているため噛めば噛むほど味が出る。 


ラーメンの副材としても美味しいですが、単品で食べても超うまい!お土産にくれた一久の大将に感謝です。 


大将のお話では、お店に後継者ができ、これからも続けていくということで、嬉しい限りです。伝統かつ正統派の味を作り続けるラーメン一久さんの笠岡ラーメンは、どこか懐かしく昔ながらでとても美味しいです\(^o^)/





ラーメン一久↓

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